Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

ちじんのあい

痴人の愛

谷崎 潤一郎

Lisez 痴人の愛 (ちじんのあい) de 谷崎 潤一郎 (たにざきじゅんいちろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 179 399 caractères · 353 écrans

Aozora Bunko

が、いくらブラシで掻き廻しても、それは静かに、無抵抗に、ただ柔かな弾力を以て動くのみです。………

………私の手にある剃刀は、銀色の虫が這うようにしてなだらかな肌を這い下り、その項から肩の方へ移って行きました。かっぷくのいい彼女の背中が、真っ白な牛乳のように、広く、堆く、私の視野に這入って来ました。一体彼女は、自分の顔は見ているだろうが、背中がこんなに美しいことを知っているだろうか? 彼女自身は恐らくは知るまい。それを一番よく知っているのは私だ、私は嘗てこの背中を、毎日湯に入れて流してやったのだ。あの時もちょうど今のようにシャボンの泡を掻き立てながら。………これは私の恋の古蹟だ。私の手が、私の指が、この凄艶な雪の上に嬉々として戯れ、此処を自由に、楽しく蹈んだことがあるのだ。今でも何処かに痕が残っているかも知れない。………

「譲治さん、手が顫えるわよ、もっとシッカリやって頂戴。………」

突然ナオミの云う声がしました。私は頭がガンガンして、口の中が干涸らびて、奇態に体が顫えるのが自分でも分りました。はッと思って、「気が違ったな」と感じました。それを一生懸命に堪えると、急に顔が熱くなったり、冷めたくなったりしました。