Classiques japonais avec furigana
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しろがねのえず
白金之絵図
泉 鏡花
Lisez 白金之絵図 (しろがねのえず) de 泉 鏡花 (いずみきょうか) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 23 356 caractères · 47 écrans
ちと更まっては出たれども、また一つ山を越すのじゃ、御免を被る。一度羽織を脱いで参ろう。ああ、いやお婆さん、それには及ばぬ。」
紋着の羽織を脱いだのを、本畳みに、スーッスーッと襟を伸して、ひらりと焦茶の紐を捌いて、縺れたように手を控え、
「扮装ばかり凜々しいが、足許はやっぱり暗夜じゃの。」と裾も暗いように、また陰気。
半纏着は腕組して、
「まったく、足許が悪いんですかい、負って行く事もならねえしと……隠居さん、提灯でも上げてえようだ。」
「夜だとほんとうにお貸し申すんだがねえ。」
「どうですえ、その森ン中の暗い枝に、烏瓜ッてやつが点っていまさあ。真紅なのは提灯みたいだ。ねえ、持っておいでなさらねえか、何かの禁厭になろうも知れませんや。」
「はあ、烏瓜の提灯か。」
目を瞑って、
「それも一段の趣じゃが、まだ持って出たという験を聞かぬ。」と羽織を脱いでなお痩せた二の腕を扇子で擦る。
四
「凍傷の薬を売ってお歩行きなさりはしまいし、人。」
と婆さんは、老いたる客の真面目なのを気の毒らしく、半纏着の背中を立身で圧えて、
「可い加減な、前例にも禁厭にも、烏瓜の提灯だなんぞと云って、狐が点すようじゃないかね。