Classiques japonais avec furigana
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ひぶん
碑文
豊島 与志雄
Lisez 碑文 (ひぶん) de 豊島 与志雄 (とよしまよしお) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 13 294 caractères · 27 écrans
徐和の葬儀は簡略に行われました。崔範の小廟から少し離れたところに、小さな石をのせた土饅頭が一つふえました。
数日後、崔之庚は済南へ出かけました。紅卍字教母院の道院にこもって、二十一日間の祈念修道をして来るのだといい置きました。
早朝のことでありました。曹新と崔冷紅とは、崔範の墓参から戻って来て、人目につかない裏庭の片隅に坐っていました。大きな槐の木影で側の夾竹桃の茂みには、薄紅い花がまだ幾つか散り残っていました。
曹新は洋服のハイカラな身装で細いステッキを手にしていました。崔冷紅は黒い薄絹の服をまとい、十七歳のすらりとした姿で、小麦色の頬にかすかな紅を呈し、母親譲りの長い眼をしばたたいていました。
「なにか御用なの。」と彼女はいって、眩しそうな眼付をしました。
「うん、いよいよ決心をしたよ。」と曹新は答えました。
崔冷紅は黙っていました。
「僕は今日出立するつもりだ。」
「お父さまが帰られてからになすっては……。」
「いつのことか分らないし……。」
「でも、二十一日間と仰言ったわ。それに、使の者もお目にかかって来たことだし、やはり、済南の道院にいらっしゃるのだから、二十一日すぎたら帰ってみえるわよ。