Classiques japonais avec furigana
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ひぶん
碑文
豊島 与志雄
Lisez 碑文 (ひぶん) de 豊島 与志雄 (とよしまよしお) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 13 294 caractères · 27 écrans
その代り、沢山の荷物を携えていました。
その荷物の中から、黄絹七反、紫絹七反、毛皮三枚、五個五色の宝石を、彼は取出して、人前も構わず、予告もなくいきなり、崔冷紅の前に差出しました。
「崔家の慣例に従ったのだ。受けてくれますか。」
崔冷紅の顔には真赤な血が漲りました。彼女は五年前と同じようにすらりとした体躯でしたが、顔立は母親に似てきて、その頬の皮膚が薄く透いて見えました。
「受けてくれますか。」と曹新はくり返しました。
崔冷紅は顔を伏せてじっと立っていましたが、ほろりと涙を落すと、とたんに昔の態度そのままに戻って、曹新の側にかけより、その袖をつかんで、誰もいない次の室へ引張ってゆき、彼の胸に身を投げかけて泣きました。
「嬉しいわ、お兄さん。」
「いや、もうお兄さんなんていうんじゃないよ。」
そこで二人は初めて笑いました。そして奥の室へゆきました。
崔之庚が待っていました。崔之庚の様子はだいぶ変っていました。小さな頭巾をかぶり、火桶の上にかざした両手を揉み合せながら、小首をかしげて応対する態度は、全く温和な柔かさと円みとを具えていました。ただその眼の光に以前通りの鋭さが残っていました。