Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

きんだんのししん

禁断の死針

野村 胡堂

Lisez 禁断の死針 (きんだんのししん) de 野村 胡堂 (のむらこどう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 3 500 caractères · 7 écrans

Aozora Bunko

「宜しゅう御座いますか旦那様」

五音の調子に少し顫えを帯びて居りますが、横になって妾お元の美女に眺め入って居た原口作左衛門、そこまでは気が付きません。

「あ、やって貰おう」

何心なく斯う申します。

左の示指と拇指で、作左衛門の首筋をピタリと押えた佐の市、これは圧手と言って、その道ではなかなかやかましいもの。伝書には「手に虎の児を握るが如く、薄氷を踏むが如く、深淵に臨むが如し」などと教えて居ります。

やがて佐の市の右手に、十番の大金鍼、毒虫の触覚のように動くと、圧手の間から作左衛門の項へ深々と打ち込まれます。

「アッ」

と苦悶の声、

「黒沢岩太郎覚えたか、按摩の佐の市とは世過ぎの仮の名、本名は磯見要の一子佐太郎、二十年目で敵の仇にめぐり逢うとは、日頃信心する観音様のお引合せ――、

盲の悲しさ、刀を持つ術は知らないが、鍼を持っては人に後れを取ろうとも覚えない、今打ったのは、十四経にも禁断の鍼として、固く戒めている頂門の死針、どうもがいても助かりようは無い、親の讐、覚えたか」

首筋に打った金鍼を、揉み込み揉み込み、佐の市は、見えない眼を剥いて名乗りかけます。