Classiques japonais avec furigana
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わたしのちち
私の父
堺 利彦
Lisez 私の父 (わたしのちち) de 堺 利彦 (さかいとしひこ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 5 750 caractères · 12 écrans
ことに、越中褌一つで、その前ごをキチンと三角にして、すっぱだかで菜園の中に立っている姿が、今も私の目の前に浮ぶ。五日に一度くらい働きにくる小六という若い百姓男を相手にして、父はあらゆる野菜物を作っていた。大根、桜島、蕪菜、朝鮮芋(さつま芋)、荒苧(里芋)、豌豆、唐豆(そら豆)、あずき、ささげ、大豆、なた豆、何でもあった。茄子、ぼうぶら(かぼちゃ)、人参、牛蒡、瓜、黄瓜など、もとよりあった。蕗もあり、みょうがもあり、唐黍(唐もろこし)もあり、葱もあり、ちしゃもあり、らっきょもあった。
ことに西瓜は父の誇りであった。あの大きな丸い奴が、あるいは青く、あるいは白く、朝の畑に露を帯びて転がっているのを、私はよく父の尻について検分に廻ったものだ。苗の時から、花落ちの時から、いろいろ苦心して育てた奴が、一日一日に膨大して、とうとうここまで、一貫目以上もあろうというところまで大きくなったのだから、父が上機嫌で破顔微笑するのも無理はない。私としても、虫取りの時から父の助手を勤めているのだから、幾分か成功の光栄を分有する権利があるわけであった。虫取りの時には、粘土を水でネバネバにした奴を茶碗に入れておいて、葉裏や若芽にとまっている黒い小さい虫を見つけては、そのネバネバを附けた箸の先で、ソット苗にさわらないようにして取るの