Classiques japonais avec furigana
ja-reading.com
Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
わたしのおぼえがき
私の覚え書
宮本 百合子
Lisez 私の覚え書 (わたしのおぼえがき) de 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 8 746 caractères · 18 écrans
を繰返す。揺り返しの間を見、私は、いそいで階子を降りた。居間のところへ来て見ると、丁度昼飯に集っていた家内じゅうの者が、皆、渋をふき込んだ廊下に出て立っている。顔を見合わせても口を利くものはない。全身の注意を集注した様子で、凝っと揺れの鎮るのを待っている。階下に来て見て、始めて私は四辺に異様な響が満ちているのに気がついた。樹木の多いせいか、大きなササラでもすり合わせるような、さっさっさっさっと云う無気味な戦ぎが、津波のように遠くの方から寄せて来ると一緒に、ミシミシミシ柱を鳴して揺れて来る。
廊下に立ったまま、それでも大分落付いて私は、天井や壁を見廻した。床の間などには砂壁が少し落ちたらしいが、損所はない。その中、不図、私の目は、机の上にある良人の懐中時計の上に落ちた。蓋なしのその時計は、明るい正午の光線で金色の縁を輝やかせながら、きっちり十二時三分過ぎを示している。真白い面に鮮やかな黒字で書かれた数字や、短針長針が、狭い角度で互に開いていた形が、奇妙にはっきり印象に遺った。驚いて、一寸ぼんやりした揚句なので却って時計の鮮明な文字が、特殊な感銘を与えたのだろう。