Classiques japonais avec furigana
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しほんたいへいき
私本太平記
吉川 英治
Lisez 私本太平記 (しほんたいへいき) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 116 638 caractères · 233 écrans
いったい、どれほどな盲人の数なのか。――先頭はもう長蛇形に染屋川の土橋を渡って、はるか先に霞んでいるのに、まだ尻尾の方は、職屋敷の清聚庵の門を出切れず、そこの曲り角で、
「こっちだ、こっちだ」
「何と、かんの悪い座頭衆だよ。かんのいい振りをしなさんな。杖と杖をつなぎ持ちにして歩いたらどんなものだね」
と、目あきの座役たちに手を焼かせている有様で、ざっと二千人はかぞえられる。いわば二千の盲人大衆が遊山にでも練ッて行くような奇観であった。
けれど、嵐山も大堰川もとうに花は散ったあとだし、めくらに新緑を愛ずる風流気はなかろうし、だいいち、故征夷大将軍尊氏が薨じてから今日はまだ八日目なのである。
ついきのうは初七日の忌で、宮中をはじめ二条の故館では法要が行われ、各寺院でも終日の勤行があり、町の声にしても、もう亡い人となると、いまは何か、巨大に感じられる人間像とあとの空虚に、つい話を持ち切っていたような時でもあり、往来はこの奇異な行列にみな目をそばだてた。
「ほう、世間にはいるもんだな。めくらの衆も」
「いるとも。綾ノ小路には、諸国から集まって来る」
「いつもこんなにかい」