Classiques japonais avec furigana
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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
しほんたいへいき
私本太平記
吉川 英治
Lisez 私本太平記 (しほんたいへいき) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 126 598 caractères · 254 écrans
「ご親切に」
尼の礼は美しかった。
礼儀だけでなく、こんなきれいな尼前が世にあろうかと、卯木は、眼醒めるような心地がした。
おなじように、尼前もまた、卯木の容姿に、眼をみはって、
「失礼ですが、あなた様は」
「はい。この家の者ではございませぬが、柳斎さまのお長屋に住み、何かとお世話になっている下絵描き元成の妻、卯木という者でございまする」
「オオさようでいらっしゃいますか。私たち母子も、柳斎どのとは、国もと以来の長いお知りあい……。が、近年、都に住もうておりますゆえ、四天王寺詣でのせつには、こうして久しぶり、お会いするのを愉しみに、お訪ねするのでございましたが」
「それは、さぞかし、お力落しでございましょうなあ。柳斎さまとて、もう今日明日には、お帰りあっておよろしい頃、ごゆるり、お待ちなされては」
「さあ、どうしたものか」
尼は、自分のそばに、さっきから黙然といる、息子の横顔を覗くように見て、
「のう、……覚一」
と、そっと諮った。
覚一は、声をめあてに、
「卯木さまとやら」
「はい」
答えたとき、卯木は初めて、その息子が、盲人であるのに気がついて、胸が緊まった。