Classiques japonais avec furigana
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しほんたいへいき
私本太平記
吉川 英治
Lisez 私本太平記 (しほんたいへいき) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 126 598 caractères · 254 écrans
人が来るといけない」
「晩に来てはいけませんか」
「御三男に見つかると、おまえのためにもならないよ。わしの周りには、御近習の眼が光っている」
「じゃあ、およろしい時に、和子様の方から、そっとお遊びにおいでなさいまし。柳斎のいる所は、西の廊の端れにあたる下屋廂。晩なら人もおりません」
阿新の眸は、うなずいたように見えた。はたして数日の後、夜更けた下屋の縁に、彼の小さい姿が忍んで来た。そして一刻ほど、話して帰った。次の晩も、すきを窺って、ちょっと来たが、すぐ帰った。
右馬介は、阿新の敏捷さに、舌を巻いた。
自分も要心に要心はしているつもりだが、阿新の気くばりには及ばない。針の神経を感じさせる。これが十三の少年かと疑われた。柔弱な公卿の子などとはなお思われない。
父資朝が囚われてからは、一家は没落して、仁和寺辺の法師長屋に住んでいるといった。
小さい弟や妹が三人もいる。貧苦のなかで阿新も育ったらしい。その貧寒と時勢の潮が、こんな不敵な一少年を作ったのだろう。
「お父君はすでに、ぐみの木河原で斬られている。ご存知か」
右馬介が、※(「口+耳」、第3水準1-14-94)くと、