Classiques japonais avec furigana
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しほんたいへいき
私本太平記(三)
吉川 英治
Lisez 私本太平記(三) (しほんたいへいき) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 222 108 caractères · 446 écrans
おれたちのあるかぎり、金剛山の失せぬかぎり、ここの御楯の城は変らぬ。しがみついて時節を待とう。……のう、ここは仰せのまま袂を別ッて、静かにお見送りしようではないか」と、言って諭した。
赤坂落城は、笠置全滅後二十三日目だ。――十月は終りかけている。
正季やほか一党ともちりぢり別れて、その夜、姿を消した正成は、おそらく心あてとしていた大塔ノ宮とも会えず、宮のお行方を追って、さらに紀州熊野か、吉野方面へでも分け入ったのではあるまいか。
なぜなら、正成が大和の般若寺へたどりつくいぜんに、宮の潜伏は、はや幕軍の知るところとなっていたからである。
路傍にさえ風説があった。
一乗院の好専なる法師が、幕軍に密告して出て、みずから討手の先に立ち、大塔ノ宮の隠れている宿坊を、夜明けに急襲したものだという。
折ふし、宮の随身らも、前夜どこかへ出むいていて、宮おひとりであったらしい。
「南無三、のがれえぬところか」
一たんは自害を覚悟されたが、元来、胆ふとい宮である。
「待てしばし」と、しずかに隙見しておられた。
すると、本堂の大床へのぼって来た土足の将士は、あららかに何か吠えたけびながら、内陣を掻き荒らしたり、また大床のすみにすえてあった大般若の経唐櫃のまえに立ち、中の経文をつかみ出して、その底までをしらべていたが、やがてのこと