Classiques japonais avec furigana
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しほんたいへいき
私本太平記(三)
吉川 英治
Lisez 私本太平記(三) (しほんたいへいき) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 222 108 caractères · 446 écrans
「そうだろう!」
高氏は膝を打った。じぶんの観測は中っていた。将は将を知る。独り愉快を禁じえぬらしい。
「かねて正成の人となりは、そちからつぶさに聞いていた。その正成が、小城一つ失ったとて、やわか、むなしく焼け死ぬものか。藁人形ではあるまいし」
柳斎、じつは右馬介の、隠密情報によると。
そのご大塔ノ宮は、吉野を根拠に、依然、宮方の士を募ッており、正成は一時、伊賀に身をかくしていたが、近ごろは、和泉、摂津の辺まで出て“幻の軍”を指揮している形跡がある。のみならず、はやくも奥金剛の山中には、第二の赤坂城の築塁にもかからせて、
主上奪回
の目的と、宮方再起の日とを、かたく期している模様だとのことだった。
「さもあるはずだ」
高氏には、どれ一つとて、疑えもしなかった。
彼が、正成の人物をこう重視していたのも、戦前すでに詳しい“柳斎情報”を握ッていたからではあるが、彼自身も、四月にわたる畿内遊撃のあいだに、正成の郷土の衆望や人間の奥行きについては、かなりその真相を窺いえていたからだった。
「では、このところ密々に、その正成と、山陽方面の宮方とが結んで、なにか謀っておる形勢と申すのか」