Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

しほんたいへいき

私本太平記(三)

吉川 英治

Lisez 私本太平記(三) (しほんたいへいき) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 222 108 caractères · 446 écrans

Aozora Bunko

帝と妃たちは、そこの明滅のうちに、お姿を見せており、公卿ふたりは、縁にいた。

「三日の月が……」

と、忠顕は憮然と仰いだ。

武者たちも、仰向いている。都へ帰る者ですら、家郷遠くの感にとらわれているらしい。お声はないが、帝の感慨はいうまでもないだろう。外洋の波音が、ここへまで打って来る。

「道誉」

一条行房が縁から呼んだ。

「お召しあらせられるぞ。近う寄れ」

「はっ」

道誉は、庭むしろを立って、そこの下にぬかずいた。後醍醐は心から彼に別れを惜しむふうだった。

「長の旅路を」

直々、ねんごろなおことばのあった末に、

「わけて、そちの肩など借りた、院ノ庄の花の一夜は忘れ難いぞ。覚えておるか」

意味ありげに仰っしゃった。

「なかなか忘れはおりません。生涯忘れることではございませぬ」

道誉は、答えた。

それから、お杯を賜わった。もちろん、彼だけではない、順次、千葉ノ介から小山に賜わり、隠岐ノ清高からさいごに塩冶高貞へも賜わった。

高貞は心の眼をくばって、終始、鎌倉の代官たる自分を持していた、というよりも帝のおことばといい、道誉と清高のあいだなども、仔細に、猜疑していたのだった。