Classiques japonais avec furigana
ja-reading.com
Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
ひめられたるそうわ
秘められたる挿話
松本 泰
Lisez 秘められたる挿話 (ひめられたるそうわ) de 松本 泰 (まつもとたい) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 8 690 caractères · 18 écrans
何でも現金や債券を可成り持っているという噂であったが、近所の人と顔を合せる毎に、貧乏で困るとか、不景気だとかいうのが口癖であった。去年から不用心だからといって、今の衣川に二階の八畳間を貸して、世間並の食料や、間代を取っていた。
浅田は食事を済ますと、いつものように新聞をもって便所へいった。窓から隣家の二階の縁側が見えている。縁側の下はすぐ勝手のトタン屋根になっていて、そこから地続きの低い生垣を越えると、浅田家の庭である。浅田は便所へ入っているうちに、今朝の騒ぎを忘れて了って墓参の事を思出していた。
部屋へ戻ると、
「どうだね、今日は母さんの命日だから、お墓詣りをするか」と妻に声をかけた。
「そうでしたね。でも私何ですか、少し気分が不良いようですから、今度ひとりで参りますわ。それに坊やのお腹がまだほんとうでないんです」
「じゃァよしておくがいい、お前も顔色がよくないぜ。無理をして病気にでもなると困るからな」浅田は妻が昨夜から暁方にかけて、二三度冷蔵庫へ氷を取りにいったのを、薄々覚えている。四つになる実が急に熱を発して頭が痛い、頭が痛いと、のべつに訴えていた。