Classiques japonais avec furigana
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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
しんのしゅっぱつ
秦の出発
豊島 与志雄
Lisez 秦の出発 (しんのしゅっぱつ) de 豊島 与志雄 (とよしまよしお) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 14 532 caractères · 29 écrans
「いや、私が言うのは、農精神を基調とした新たな構想の国民組織を行なわなければ、中国は国家として存立し得ないということです。嘗ての新生活運動だの、近頃の新国民運動だの、保甲組織だの、そういう浅薄なものでは駄目だということです。」
洪はじっと秦を見つめた。
「つまり、あなたはどこか農村へ出て行くつもりで、それで、この私に何か後事を託そうとでも……。」
「後事を……いや、ちょっと始末をつけたいのです。」
秦は洪の眼を見返した。洪の眼はそれでも、静かな温容を湛えて、秦を見戍っていた。
沈黙が続いた。会談中に何回か運ばれた熱い茶が、また同じ男の手で運ばれてきた。その男が出て行った時、秦は懐をさぐって、小さな紙包を取り出した。
「これを、持主に返して貰いたいのです。」
小卓の上に置かれた紙包を、洪はじろりと見やった。
「拝見しても宜しいか。」
「どうぞ。」
包み紙の下の白紙には、仲毅生の名前が誌されていた。その中は油紙で、根本から切り取られた人間の耳朶が包んであった。もう黒ずんだ血をにじませて少しく干乾びていた。
洪はそれをまた包み直して言った。
「彼奴のことは承知していた。