Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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ちちぶのみやでんかにじしてやりがたけへ

秩父宮殿下に侍して槍ヶ岳へ

木暮 理太郎

Lisez 秩父宮殿下に侍して槍ヶ岳へ (ちちぶのみやでんかにじしてやりがたけへ) de 木暮 理太郎 (こぐれりたろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 9 876 caractères · 20 écrans

Aozora Bunko

と仰せられて直に御許容になった。小屋の人達は一斉に万歳を三唱して上高地へお下りになる殿下を御見送申上げた。暫く下ると雪渓が始まる。今年は非常に雪が少いとの評判であったが、夫でも十町余りは続いていたろう。殿下は渡辺さんや槇君と先頭にお立ちになって、一気に之を御滑降になった。雪が尽ると左岸に道が通じている。この道のない頃は、渓流を徒渉したり両岸の藪を押分けたりして、非常に困難したものであるが、今は道があるので絶対に徒渉の必要がなくなった。小屋も赤沢の岩小屋附近に槍沢の小屋というのがあり、坊主の岩屋附近に大槍の小屋があり、其上に殺生小屋がある。最早野営の用意などせずとも、上高地又は中房から自由に槍ヶ岳へ登れるようになった。

黒沢の合流点附近で昼食を済し、追々と開けて来る梓川の河原に林をなして生え茂ったドロ柳や川楊のしなやかな枝葉が河風に翻るのを美しと眺めて、足触りの柔い原始林の道を一直線に辿り、徳本峠の道と合してから、右に仰いだ明神岳の巍峩たる姿を後にして、前面に焼岳の噴烟が現れるともう河童橋である。このあたりは川楊も白樺も大方伐り尽されて、殆ど元の面影は認められない。