Classiques japonais avec furigana
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あきや
空家
宮崎 湖処子
Lisez 空家 (あきや) de 宮崎 湖処子 (みやざきこしょし) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 15 554 caractères · 30 écrans
その嬉しさにも優るべく、いと重げなる黄金の包みのその懐に満々たるは、征西将軍が拝受したる菊桐の大勲章よりもその身にとってありがたかるべし、今や故郷に錦を装り、早や閭樹顕われ村見え、己が快楽の場なりし勇蔵が家またすでに十歩の近きにありて、その窓より歓迎する顔さえ見ゆるは、凱歌を唱えて凱旋する幾万の兵士の喜びを合わするとも、なお及ぶべくもあらざるべきに、見よこの満足の日に彼の顔の曇れるを、彼が足の躊躇せるを、彼は窓に近づきぬ、窓の顔は一たび消えて戸をあけて転び出でたり、「佐太郎主今がお帰り、して宿の主は」と、
佐太郎はうちに入り布の包みを卸してまず一杯の水を乞えり、女房は井より新たに汲み来たり柄杓のままにさし出し、「宿の主も一しょにか」と問う、佐太郎は水に気の入り、阿園が問いに何心なくさようと答えつ、後にてハッと愕きたれど駟も舌に及ばざりき、女房は焦き立てり、「していずこにか立ち寄られてか」「さよう」「いずこに」「否今すぐに帰り来べし、ゆっくりと待たれよ」「さても情なき人の心、いつまで妾に待てよとか、妾は一走り呼びに往かん」と、阿園はあわただしく駈け出でたり、佐太郎は色をかえ、「姐子よ呼びに往かれずとも、兄貴は疾くに帰りてある……、ああ、隠すとも隠されぬか」