Classiques japonais avec furigana
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とってい
突堤
宮本 百合子
Lisez 突堤 (とってい) de 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 7 221 caractères · 15 écrans
極めてゆるやかに、極めて軽やかに梶棒を上にしてひっくり返った。私をのせた若い車夫は惶てて体を反らせ、惰力を制して止った。いそいで降りて、ひっくり返った俥の横へ行くと自転車が一台ラムネ屋の屋体の下に横倒しに放ぽり出されていて、夏羽織姿のおばあさんは俥夫と衝突したどこかの小僧とに扶けられてもう地面に立っていた。何とも云わず、あたりまえに蝙蝠傘を突いてそこに立っているが、片方の手をあげて抑えている額は蝋のように血の気を失っている。まわりに人だかりもない。この瞬間、異常な出来事が信じられないように夏の午前の空気は透明なままに澄んでいる。
私はおばあさんを支えて、そろそろと前の牛肉屋の店頭まで行って、そこの店先をかりて腰をおろさせた。俥夫を薬屋へやって、葡萄酒をとって来させた。その牛肉屋の店先には茂った葡萄棚があるので、おばあさんの滑らかな小さい額は一層蒼ざめて見えるし、その下で口元へさし出す葡萄酒の赤い色はコップの中に重く沈んでなお濃く見えるのであった。
暫く休んでから、改めて近くの医者のところへそろそろと歩いて行った。玄関で私が書生に訳を話していると、簾の奥から浴衣姿の年とった奥さんが、