Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

ja-reading.com

Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

わらうあくま

笑う悪魔

野村 胡堂

Lisez 笑う悪魔 (わらうあくま) de 野村 胡堂 (のむらこどう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 27 687 caractères · 55 écrans

Aozora Bunko

扉は厳重に中から錠されて、押せども引けども開くことではありません。

「中にはお嬢様と美保子様がいらっしゃいました。熱いお茶がほしいと仰しゃいましたので、お好きのモカを入れて、持って参りますと、扉が鎖って居て開かないばかりでなく、中でうめき声が聴えるじゃございませんか」

女中お駒の言葉を聞き流し乍ら、五六人の大の男が束になって扉に身体を叩き付けました。さしも厳重な扉も、煎餅のようにケシ飛んで、どっと雪崩込む人数、

「灯だ、灯だ」

中は真っ暗、誰かがスイッチを入れましたが、カチリと音を立てただけで天井の飾電燈も、美しい床電灯も点きません。

そのうちに、女中の一人が、堤電灯を持って飛込みました。

「あッ」

中には飛散る血、一人の若い女が、燃えるような絨毯の上に、気を失って倒れて居るではありませんか。

「美保子さんだ。お嬢様は?」

近づくお駒を掻きのけるように、後ろから出て来たのは、美保子の兄の潮田春樹でした。

「美保子、美保子、確りしろ、どうしたのだ、これは」

傷いたらしい体を抱き上げて、春樹は少し取乱して居ります。

「奈々子は、――奈々子は居ない」

絶望的な声と共に、主人の熊谷三郎兵衛が飛んで来ました。