Classiques japonais avec furigana
ja-reading.com
Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
そろばんがこいをかたるはなし
算盤が恋を語る話
江戸川 乱歩
Lisez 算盤が恋を語る話 (そろばんがこいをかたるはなし) de 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 8 096 caractères · 16 écrans
そして、そこにじっとたたずんで彼の来るのをまちわびているS子の姿を想像しながら、息せき切って樋の山遊園地へと駈けつけました。
そこは遊園地といっても、小山の頂に一寸した広場があって、一二軒の茶店が出ている切りの、見はらしがよいという外には取柄のない場所なのですが、見れば、もうその茶店も店を閉じて終ってガランとした広場には、暮れるに間のない赤茶けた日光が、樹立の影を長々と地上に印しているばかりで、人っ子一人いないではありませんか。
「じゃ、きっと彼女は着物でも着換る為に、一度家に帰ったのだろう。なる程、考えて見れば、あの古い海老茶の袴をはいた事務員姿では、まさか来られまいからな」
算盤の返事に安心し切った彼は、そこにほうり出してあった茶店の床几に腰かけて、煙草をふかしながら、この生れて初めての待つ身のつらさを、どうして、つらいどころか、甚だ甘い気持で味わうのでした。
しかし、S子はなかなかやって来ないのです。あたりは段々薄暗くなって来ます。悲しげなからす共の鳴き声や、間近の停車場から聞えて来る汽笛の音などが、広場の真ん中に一人ぼつねんと腰をかけているTの心にさびしく響いて来ます。