Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

ja-reading.com

Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

はこねのやま

箱根の山

田中 英光

Lisez 箱根の山 (はこねのやま) de 田中 英光 (たなかひでみつ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 16 963 caractères · 33 écrans

Aozora Bunko

と渡してやった。「アリガト」とポケットに突っ込んでいた右手を出し、始めは喜んで杖にして歩いていたが、やがて倦きてしまったと見え、「こんな小さな杖は厭だ。もっとあんなに大きいの」と生意気な事を言い、路傍の杉林の杉を指さす。

「あんなの、とても一郎に持てやしないよ」、「持てるよッ」、「きっとか」、「ウン」、「よオし」と私は少し腹を立て、きょろきょろ周囲を見廻したが、生憎、大きな丸太も転がっていないので、「よしよし、覚えていろよ。後できっと持たしてやるからな」と大人気もなく、含むように言い、一郎の手から竹の杖をひったくって投げ棄てると、小さな手をぐいと引っ立てるように歩き出した。

湯本駅のペンキ絵の箱根地図を思い出してみれば、湯本茶屋はとっくに過ぎたはず故、いま右下に聞える水声は、多分須雲川の渓流に違いない。どんなに長い路でも歩き続けていれば、いつか目標に近づいているはず。私たちは須雲川と言う部落に出る前の路傍に、レディ初花のファーザーである須雲新左衛門の邸跡と、英語で説明の書かれ、立ち腐れた標柱だけを見た。そして九十九折の山路を廻って行けば、いつしか、街道を挾んで、二、三十軒の家がばらばらに建ち並んだ、淋しい須雲川村に出た。