Classiques japonais avec furigana
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そまつなはなたば
粗末な花束
宮本 百合子
Lisez 粗末な花束 (そまつなはなたば) de 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 6 227 caractères · 13 écrans
二三日その少女のことが忘られなかった。次に、夜、出かけた時、私は電車を降りるとから、山崎の角に目をつけた。彼女はどうしたろう? いるだろうか、いないだろうか。鋪道を彼方に越すと私は一目で、あの金髪と紺の水兵帽とを認めた。今夜、彼女は泣いてはいない。もう少し先刻来たものと見え、先夜の連れと、一つの籠をとり巻いていた。紅色帽の女が、何か云いながら、小さい見栄えのしない花束を二つずつ少女の両手に持たせた。そして、肩を押すようにして人通りの方に行かせた。私は、興味を持って、少女を見守った。僅な三四日のうちに、彼女はもう上手な花売りになったのだろうか。
雑踏する散歩者の群に入ると、彼女は、まるで自信のない、躊躇に満ちた足どりで歩き始めた。両手には、持たせられた花を二束ずつ持ちあげたまま、むきな、真面目極る顔を心持うな垂れて、のろのろ歩く。数人が、けげんそうに振向いて眺めた。七八歩行くと、彼女は何か考え沈んだ風で、群集から脱れ、とある化粧品店の飾窓の方に行った。彼女の両手は下り、四束の花――彼女にとって大切な筈の商品は――気もなく指先きにやっと掴まれている。