Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

こうばいのきゃく

紅梅の客

吉川 英治

Lisez 紅梅の客 (こうばいのきゃく) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 7 574 caractères · 15 écrans

Aozora Bunko

と訊いた。『いる』と答えたら『そう』と言ったきりだった。いやなにかもっと言ったのだろうが、べつに意見めいたことでもなかったから忘れている。ただ覚えているのは、帰ろうとして土間の下駄をみると、私のぺしゃんこな汚ない駒下駄の鼻緒がいつのまにかちゃんとスゲ直してあったことと『吉川さん、これ』といって電車の切符を二枚、巾着の中からちぎって渡してくれたことだった。

あとで、電車のツリ革にぶら下りながら考えてみると、私が、おまきさんと土手で別れかけたとき、千束町の方へ行こうとしたので、おまきさんはすぐ、その方角からみて、電車賃もないのだな、と私のふところや朝飯のことも察したものであったらしい。私はそれっきりおまきさんの勤めている江戸町の小店へは近よらなかった。おまきさんも私の姿を見ないほうが何か功徳をしたような気がするだろうと勝手な独りぎめをしていたのだった。やりてと呼ばれる女のうちにも、こんなひともいたのである。

話はとぶが、庭に紅梅を貰ったつい数日前の早朝だった。山科の勧修寺のほとりにいる大石順教尼が訪ねて来られた。このひとは十七歳のときから両手が無い。