Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

「もんしょう」の「わたし」

「紋章」の「私」

豊島 与志雄

Lisez 「紋章」の「私」 (「もんしょう」の「わたし」) de 豊島 与志雄 (とよしまよしお) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 4 201 caractères · 9 écrans

Aozora Bunko

人間の言葉は不用意に発せられるもので、殊に情意の変動時に当っては、その爆発や沈潜からじかに湧き上ってくるものであるが、そうした言葉を何かで濾過する時には、それはもう情意の動きについていけない。

「紋章」のなかで、言葉を濾過してるものは何か。それを私は前述し来った「私」だと見る。この「私」は、常に人物の跡をつけて、その刻々の心理の状態を捉えようとする。心理は刻々に動いてゆくが、捉えようとするのは、その刻々の状態である。そういう「私」によって濾過された言葉は、地の文の中にとけこんで、平常の場合には特殊の力と生命とを持つが、変動しつつある場合には、心理の動きから一歩後れるのは仕方ないことであろう。

現実のいずれの相が真実でありいずれの相が虚偽であるか、そういうことを信じようと信じまいと、または、それの見分けがつこうとつくまいと、芸術のなかに現実を或は再現し或は飜訳し或は建立する場合、作家はただ自分の真実に頼るより外はない。そしてこの真実は、その動向の如何によって、作家に種々の態度を取らせる。「紋章」の作者は、そこで、「私」というものを得た。人間の心理に於ては、一つのものは一時に一の場所をしか占め得ないということ、もしくは、二つのものが同時に一の場所を占め得ないということは、それは嘘であると、そういうことを考える