Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

えほんのはる

絵本の春

泉 鏡花

Lisez 絵本の春 (えほんのはる) de 泉 鏡花 (いずみきょうか) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 6 447 caractères · 13 écrans

Aozora Bunko

工事七分という処で、橋杭が鼻の穴のようになったため水を驚かしたのであろうも知れない。

僥倖に、白昼の出水だったから、男女に死人はない。二階家はそのままで、辛うじて凌いだが、平屋はほとんど濁流の瀬に洗われた。

若い時から、諸所を漂泊った果に、その頃、やっと落着いて、川の裏小路に二階借した小僧の叔母にあたる年寄がある。

水の出盛った二時半頃、裏向の二階の肱掛窓を開けて、立ちもやらず、坐りもあえず、あの峰へ、と山に向って、膝を宙に水を見ると、肱の下なる、廂屋根の屋根板は、鱗のように戦いて、――北国の習慣に、圧にのせた石の数々はわずかに水を出た磧であった。

つい目の前を、ああ、島田髷が流れる……緋鹿子の切が解けて浮いて、トちらりと見たのは、一条の真赤な蛇。手箱ほど部の重った、表紙に彩色絵の草紙を巻いて――鼓の転がるように流れたのが、たちまち、紅の雫を挙げて、その並木の松の、就中、山より高い、二三尺水を出た幹を、ひらひらと昇って、声するばかり、水に咽んだ葉に隠れた。――瞬く間である。――

そこら、屋敷小路の、荒廃離落した低い崩土塀には、おおよそ何百年来、いかばかりの蛇が巣くっていたろう。