Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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せんさいなびのかんしょうということについて

繊細な美の観賞と云う事について

宮本 百合子

Lisez 繊細な美の観賞と云う事について (せんさいなびのかんしょうということについて) de 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 2 663 caractères · 6 écrans

Aozora Bunko

すなおに――しとやかに――さりながらやたら無精にかきまわす事の出来ない厳かさを持って居る。

私達から進んで行ってその美に一致する事は出来ても、美の方から我々の心に入って来ない見識を持って居るのも勿体ぶった美くしさの向うから進んで私達に近づいて来るのとはまるで違って尊いものである。

この美の我々の手になったものにあまりなくて大抵の時は自然の中に住んで居ると云うのもそうあるべき事で、又人間の手で造り出す事の出来ないものである事を私は望んで居る。

一握りの土の中のただ黒いものの中にも、自らが進んで行きさえすれば想像もつかないで居た美が発見されるものである。

色彩の工合いもなく、連想がどうあろうともどっちとも云われない感情がその美くしさから湧き上る。

ただ名もない雑木が秋に会ってその葉を風情もない様な茶色にかえてガサガサして居る時、紅葉にくらべる美くしさはどこにもない様に思える。

しかしにぶい日光がその葉の上にただよった時葉の縁には細い細いしかしながらまばゆいばかりの金線が出来てつつましく輝きながら打ち笑む様を見た時に、――――

やがて見て居るうちにはわけのわからない涙がにみじ出して心の中には只嬉しさと謙譲と希望に満ちてその美の中に自らが呼吸して居る様な気持になる。