Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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びのにほんてきげんせん

美の日本的源泉

高村 光太郎

Lisez 美の日本的源泉 (びのにほんてきげんせん) de 高村 光太郎 (たかむらこうたろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 12 919 caractères · 25 écrans

Aozora Bunko

を考える事にあった。日本美は今後ますます成長し、豊満し、進展するに違いない。而しそれは決して手当り次第の栄養摂取によっては果されない。十分な自覚と静観とを以て我々の進むべき筋道を心得た上での事でなければならない。私はそういう事の一助にもと思って自分の所見を提示するのである。これまで此意味に於ける日本美の重要な源泉的諸分子を挙げて来たが、最後には矢張能面がよく代表する日本美の奥深い含蓄性について一言せねばならぬ。

能面の最も高き美は鎌倉末期から室町時代にかけて成就した。長い間の日本彫刻の伝統であった仏像彫刻が、鎌倉期の中興を経てついに再び廃頽堕落するに至った室町時代に及んで、その精粋が思いがけない能面のようなものに移り、此所に又別途の新らしい美を創り出した事は奇観である。芸術美が自然を離れれば必ず枯渇して、足利期仏像のような瑣末形式のくり返しに陥り、一度び自然に眼が開けば必ず新鮮の美が油然と起って、室町時代の能面のような幽玄微妙な神韻を創生するに至った事実はわれわれにとって無上の教訓となる芸術上の恐ろしい約束である。

背後に蔚然たる五山文学の学芸あり、世は南北朝の暗澹たる底流の上に立って興廃常なき中に足利義満等の夢幻の如き栄華は一時に噴火山上の享楽を世上に流通せしめた。