Classiques japonais avec furigana
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びしょうねん
美少年
岡本 かの子
Lisez 美少年 (びしょうねん) de 岡本 かの子 (おかもとかのこ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 13 417 caractères · 27 écrans
聞けば少年の母親はやはりかなりな美人の俤を残し、むす子の少年のきりょうよしを大の自慢だとは界隈の噂だが、趣味の低い女ではあるまいか。
鉄道馬車の馬の蹄がかつかつの音を立てて通る大通りをしばらく歩いて、二人は左手の横町へ曲る。
窯でやかれた陶器の熱が冷めてゆくほど、釉薬の色はみずみずしく仕上るのに似た夏の夕であった。西の空の薔薇いろが薄れるに従っておお空と街とは真っ青に染め付いてゆく。
濠まで見通せる道の両側の青い街では家々は夕飯をすましてまだ瓦斯燈の瓦斯が来ないままに、人々は店の上り框に腰かけて雑談したり、往来へ出て背のびをしたりしていた。うるさく病む眼の邪魔になって、蝙蝠がおちこち飛び交していた。薬売の定斎屋が、宣伝の薬筥の鐶の鳴りを止めてしずかに帰ってゆく。
少年はわたしに何の合図をせず口も利かず角を曲ったり、みるみる暗くなってくるたそがれの往来を右に左に突き進んで行く。少年の後姿はまるでわたしを連れているのを忘れたかのようである。黙ってもついて来る、美貌によって擒にした奴隷のようにもわたしを思い做しているのであろうか。ても生意気な人。うつ向きながら小走りにあとを追ってゆくわたしの眼の前に、丸い踵が撒き水の乾いた道を雪履で蹴返してゆく。