Classiques japonais avec furigana
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ろうじゅんさ
老巡査
夢野 久作
Lisez 老巡査 (ろうじゅんさ) de 夢野 久作 (ゆめのきゅうさく) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 8 237 caractères · 17 écrans
ほかは一切不明……といったような事実が判明して来た。
彼は非常召集を受けた巡査たちが、自宅から直接に現場へ行く姿を、真白な霜の野原と一所に思い浮かべた。そうしてそんな連中が、無能な自分を怨んだり、冷笑している顔付きまで想像してみた。それから事件が万一迷宮に入った場合に、当然自分に落ちかかって来るであろう運命に就いて、くり返しくり返し考えてみたが、しかし、それはイクラ考え直しても、わかり切った事であった。
睦田巡査はポケットから鉈豆煙管を出して粉煙草を一服吸い付けた。思い諦らめた投げ遣りのような気持でフーッと煙を吹くうちに、思わず噎せかえってゴホンゴホンと咳をしたが、それにしてもこの際呉々も残念なことは、自分の受持区域でありながら、被害者の家に見舞に行けない事であった。
いつも彼の老体に同情して、色々と問い慰めた上に「主人が留守勝ですから、どうぞよろしく」と云って十分の心付をしてくれた、あの美しい奥さんの霊前に、誰よりも先に駈け付けて、心からのお詫びの黙祷が捧げたかった。そうして出来ることならば新しい手がかりの一つか半分でいい、心安い台所女中の口からなりと引き出して署長の機嫌を取直したい……当座の不面目を取繕いたいと、暫くの間そればっかりを気にして考え直していたが、しかし、それとても今となっては力及ばない