Classiques japonais avec furigana
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おうがいのけんこうとし
耄碌寸前
森 於菟
Lisez 耄碌寸前 (おうがいのけんこうとし) de 森 於菟 (もりおと) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 43 925 caractères · 89 écrans
ちょっとものをいっても嵐が荒れ狂った時代である。額の書体が変っているので何と読むのかときくと父は「賓和閣さ。お客が仲よくする所というわけだ。家の中ではけんかばかりしているからちょうどいいだろう。」と私の方を向いておどけた手つきをして見せた。
さて借家としての観潮楼の呼鈴を押して通された所は階下の八畳の洋間で、応接室に使っているらしく椅子テーブルはあるが、片隅に事務机が置いてあり帳簿類と思われるものがその上の本立にならんでいる。窓際には粗末な台をとりつけて布袋さんの像が置いてある。私が貼らした暗緑色の壁紙はそのままであるが、かつて父の親友原田直次郎画伯の油絵のかけてあった所には高く折れ釘を打ちつけて生々しい美人画の幅が両側の縁をそっくり返らしたままつるされてある。足のガタガタする真四角の卓を間に、堅い木の椅子に腰をおろして主人と向い合った私は、家賃を入れぬいいわけに「何しろお話にならん不況でして。」という主人の挨拶から、こわれた雨樋を直すことを頼んでから一ヶ月になるがどうしてくれるか、畳替えは半分家主が持つものだが差配がかれこれいうのはけしからん、物置を建増したいがいずれ置いて行くのだから家主が幾分負担してもよかろう、などの談判をきいているうちに、数年前私の留守中にこの室で最後の息を引いたという父の作物の