Classiques japonais avec furigana
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せいアレキセイじいんのさんげき
聖アレキセイ寺院の惨劇
小栗 虫太郎
Lisez 聖アレキセイ寺院の惨劇 (せいアレキセイじいんのさんげき) de 小栗 虫太郎 (おぐりむしたろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 32 638 caractères · 65 écrans
結局、犯人は霙の降りやんだ二時頃にはすでに堂内にいて、兇行を終えてから、地上に踵を触れず遁れ去ったと観察するほかにない。その際は鐘が鳴ったことは云うまでもないが、しかし、脱出の径路はすこぶる単純なんだよ。まず振綱に攀じ登ってから塔の窓に出て、そこで兇器を裏門の方へ投げ捨ててから、架空線を伝わって円蓋を下り、そして、回転窓の下に引き込まれてある動力線に吊り下って、スルスル猿みたいに構外へ出てしまったのだ。ところで、何が僕にそう云う推定をさせたかと云うに、第一が動力線に霙の氷結がないことで、次が振綱に刺さっていた白薔薇だ。――あれは、ルキーンが拾ってそれでジナイーダの移香を偲んでいたものが、綱を登る際に何かの拍子で移ったのだよ。それからもう一つは、そう云う離業を演って退けられる膂力と習練を備えた人物が、現在この事件の登場人物のうちにあるからだ。三丈もある綱を軽々と登れるばかりでなく、動力線を猿渡りする場合に、もし普通人程度の膂力と体重だとすれば、引込個所や電柱上の接合部分に、相当眼にとどまる程度の損傷が現われるだろう! おそらく一町以上の距離は容易に渡り切れぬだろうと思うね。