Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

しょっこうとびしょう

職工と微笑

松永 延造

Lisez 職工と微笑 (しょっこうとびしょう) de 松永 延造 (まつながえんぞう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 71 696 caractères · 144 écrans

Aozora Bunko

或る暗い夜、悪い運命の橋が筋交いに十字を切る所の私の室から、私と云う一つの蝋燭が消えたとする。だが、私は死んだのであろうか。思って見て貰い度い。私は橋を何の方角に向って走ったか? 運河の真中を、時計台の鐘が十二時を打つ時、その音の余波で動いて行く一つの舟で、灯が消えたなら、何が起ったのであるかを考えよ。死ではない。唯、死に似た様な強さの情事が想起されぬであろうか?

暗い水面へと続く、黒い大きな石段の様で、私の罪悪は何時初まったかが分明していない。下の半分は寧ろ影に過ぎない。そして水の様に冷かなのである。残りの半分は、前の半分の影で出来、過去に依って漸く色附けられる無色の現在、それが私の持つ現在であった。昔の劇場が今牢獄に変更されたとすれば、それが私の心なのである。

いや、私はもっと燈火の届く所迄這い出して、聴き手に顔を視せよう。私は斯んな醜い人間である。だが、彼の女等は恐ろしく美しかった。実際、彼の女等の為めに、大理石さえが愛嬌を見せて凹む程であった。誇張ではない。私は石の笑靨を経験した。私は元石の様な冷たい人間だったのである。私の心はもうアカンザスの様にフワフワと浮いて来た。