Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

はだいろのつき

肌色の月

久生 十蘭

Lisez 肌色の月 (はだいろのつき) de 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 50 706 caractères · 101 écrans

Aozora Bunko

勘がよければ、医務の内科主任がはてなと思うのだろうが、そのときは湖底の吸込孔の中か、無縁墓地の土の下で腐っているはずだ。

五時二十分の名古屋発東京行の列車が着くと、久美子はちがうひとのような明るい顔で窓際の座席におさまると、ポスターのうたい文句をいくども口の中で呟いた。

「夢の湖、楽しい湖へ……」

阿鼻叫喚のすごい苦悶の中で息をひきとるのではなくて、自分がえらんだ、魅力のある方法で、ひっそりと消えて行くのだと思うと、なんともいえないほど楽しくて気持が浮き浮きしてきた。

正午すぎに伊東に着いた。

久美子は駅前の食堂で昼食をすませると、バスを見捨てて下田街道を湖水のあるほうへ歩きだした。

だいたいプラン通りに運んだ。あとは生存を廃棄するという作業が残っているだけ。さしあたって急ぐことはなにもない。二里たらずの道なら、どんなにゆっくり歩いても夕方までには着く。バスの中で知った顔に出っくわす危険をおかすより、気ままにブラブラと歩いて行くほうがよかった。

川奈へ行く分れ道の近く、急に空が曇って雨が降りだした。こんな雨は予想していなかったので、気持を乱しかけたが、濡れるなら濡れるまでのことだと、ガムシャラに雨の中を歩いていると、追いぬいて行ったプリムスが五メートルほど先で停った。