Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

はだいろのつき

肌色の月

久生 十蘭

Lisez 肌色の月 (はだいろのつき) de 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 50 706 caractères · 101 écrans

Aozora Bunko

灰鼠の筋隈をつけた雨雲の下で、朝、見たときのまま、ボートや田舟が、さ迷う影のように、あてどもなく動きまわっている。大池というスポーティな紳士の死体は、湖底のどこかで、ひっそりと藻に巻かれているのだろうが、死んだあとでもなお執拗に絡みついて、久美子の運命を狂わせようとしている。大池の長男は、父の死体が揚るまでの自由、といった。たぶん、それにちがいないのだろう。いまは、わずかな息継ぎの時間。大池の死体が揚れば、訊問だの身許調査だの、うるさいこねかえしがはじまる。警察でも、大池を殺したとまでは思ってもいないだろうが、悪くすれば、すれすれのところまでいくかもしれない。これはもう、どうしたって避けることはできないのだ。

久美子は着換えをして運動靴を穿くと、ジャンパーの胸のかくしからコンパクトをだし、蓋の裏についている鏡をのぞいて、どんな訊問でもはねかえしてやる、図々しいくらいの表情をつくってみた。久美子自身は警察の連中を無視しているつもりだったが、こんなことをするようでは、やはり恐れているのだと思って、げっそりした。

「これはなんだっけ?」

コンパクトをジャンパーの胸のかくしに返そうとしたとき、なにか平べったい、丸く固いものが指先にさわった。