Classiques japonais avec furigana
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おきつやごえもんのいしょ
興津弥五右衛門の遺書
Lisez 興津弥五右衛門の遺書 (おきつやごえもんのいしょ) de Mori Ōgai (森 鴎外) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 7 046 caractères · 14 écrans
その時横田申候は、たとい主命なりとも、香木は無用の翫物に有之、過分の大金を擲ち候事は不可然、所詮本木を伊達家に譲り、末木を買求めたき由申候。某申候は、某は左様には存じ申さず、主君の申つけられ候は、珍らしき品を買い求め参れとの事なるに、このたび渡来候品の中にて、第一の珍物はかの伽羅に有之、その木に本末あれば、本木の方が尤物中の尤物たること勿論なり、それを手に入れてこそ主命を果すに当るべけれ、伊達家の伊達を増長致させ、本木を譲り候ては、細川家の流を涜す事と相成り申すべくと申候。横田嘲笑いて、それは力瘤の入れどころが相違せり、一国一城を取るか遣るかと申す場合ならば、飽くまで伊達家に楯をつくがよろしからん、高が四畳半の炉にくべらるる木の切れならずや、それに大金を棄てんこと存じも寄らず、主君御自身にてせり合われ候わば、臣下として諫め止め申すべき儀なり、たとい主君がしいて本木を手に入れたく思召されんとも、それを遂げさせ申す事、阿諛便佞の所為なるべしと申候。当時三十一歳の某、この詞を聞きて立腹致し候えども、なお忍んで申候は、それはいかにも賢人らしき申条なり、さりながら某はただ主命と申物が大切なるにて、主君あの城を落せと仰せられ候わば、鉄壁なりとも乗り取り申すべく、あの首を取れと仰せられ候わば、鬼神なりとも討ち果たし