Classiques japonais avec furigana
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りょうや
良夜
饗庭 篁村
Lisez 良夜 (りょうや) de 饗庭 篁村 (あえばこうそん) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 8 173 caractères · 16 écrans
と述べて左右に別れたれど予はなお橋の上を去りやらず。この応答に襟懐俗了せしを憾みたり。巡査はまた一かえりして予が未だ涼み居るを瞥視して過ぎたり。金龍山の鐘の響くを欄干に背を倚せてかぞうれば十二時なり。これより行人稀となりて両岸の火も消え漕ぎ去る船の波も平らに月の光り水にも空にも満ちて川風に音ある時となりて清涼の気味滴る計りなり。人に怪しめられ巡査に咎められ懊悩としたる気分も洗い去りて清くなりぬ。ただ看れば橋の中央の欄干に倚りて川面を覗き居る者あり。我と同感の人と頼もしく近寄れば、かの人は渡り過ぎぬ。しばしありて見ればまたその人は欄干に倚り仰いで明月は看ずして水のみ見入れるは、もしくは我が疑われたる投身の人か、我未ださる者を救いたる事なし、面白き事こそ起りたれと折しもかかる叢雲に月の光りのうすれたるを幸い、足音を忍びて近づきて見れば男ならで女なり。ますます思いせまる事ありて覚悟を極しならんと身を潜まして窺うに、幾度か欄干へ手をかけて幾度か躊躇し、やがて下駄を脱ぎすつる様子に走り倚りて抱き留めたり。振り放さんとくを力をきわめて欄干より引き放し、「まずまず待たれよ死ぬ事はいつでもなる」