Classiques japonais avec furigana
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りょうや
良夜
饗庭 篁村
Lisez 良夜 (りょうや) de 饗庭 篁村 (あえばこうそん) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 8 173 caractères · 16 écrans
満たる潮に、川幅常より広く涼しきといわんより冷しというほどなり。さながら人間の皮肉を脱し羽化して広寒宮裏に遊ぶ如く、蓬莱三山ほかに尋ぬるを用いず、恍然自失して物と我とを忘れしが、人間かかる清福あるに世をはかなみて自ら身を棄んとするかの小女こそいたわしけれとまたその事に思い到りて、この清浄の境に身を置きながら種々の妄想を起して再び月の薄雲に掩われたるも知らざりし。予がかくたたずみて居たるは橋を半ば渡りこして本所に寄りたる方にて、これ川を広く見んがためなりし。折しも河岸の方より走せ来る人力車々上の人がヤヤという声とともに、車夫も心得てや、梶棒を放すが如く下に置きて予が方へ駆け寄りしが、橋に勾配あるゆえ車は跡へガタガタと下るに車夫は驚き、また跡にもどりて梶棒を押えんとするを車上の人は手にて押し止め、飛び下りる如くに車を下りたれば、車夫は予が後へ来りてシッカと抱き止めたり。驚きながらもさてはまた投身の者と間違えられしならんと思えば「御深切忝けなし。されど我輩は自死など企つる者にあらず、放したまえ」というに、「慈悲でも情でも放す事は出来ない、マアサこちらへ」