Classiques japonais avec furigana
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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
えんしょ
艶書
山本 周五郎
Lisez 艶書 (えんしょ) de 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 25 027 caractères · 50 écrans
家へ帰った彼は、母の部屋へちょっと寄って、すぐに自分の住居へ入った。行燈に火をいれ、着替えをしながら、出三郎は部屋の中を眺めまわして溜息をついた。新村家のはなやかな集いとはおよそかけはなれた、湿っぽくて陰気な、うらかなしいけしきである。
「これがおれのついの棲家だ」彼は溜息をつきながら呟やいた、「おれはこの部屋で年をとり、やがていつかは兄の家族の誰かにみとられて、この部屋で死ぬんだ」
白酒の酔いで幾らか感傷的になっていたのかもしれないが、笠井忠也の陽気で拘わりのない性分や、娘たちを興がらせる巧みな遊びぶりを思い、あの娘たちの誰とでも結婚できるし、黙っていても九百五十石の老職になれるのだ、などと考えると、羨ましいよりはむしろ哀しいような、泣きたいような気分になるのであった。
脱いだ着物をたたんでいると、袂の中から一通の封じ文が出て来た。
「なんだ」と出三郎は手に取って眺めた、「手紙じゃないか、――おかしいな」
おもてに「出さま」と女文字で書いてある。彼は行燈のそばへ寄って封をひらいた。よんでみると恋文であった。
――自分はずっとまえからあなたが好きであった、初めは単純な気持で、あなたのことを想っても楽しく好ましい気分になるだけであった、生涯きょうだいのようにおつきあいができればいい、というふうに考えていたの