Classiques japonais avec furigana
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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
はなとりゅう
花と龍
火野 葦平
Lisez 花と龍 (はなとりゅう) de 火野 葦平 (ひのあしへい) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 410 131 caractères · 824 écrans
銀杏返しに、黒襟、面長の顔――正面を向いていて、見誤まりはなかった。二年前、道後で、一度逢ったきりなのに、必要に応じて、その全容が再現される、金五郎にとって、不可解な存在の女。彦島で、二度も横顔のよく似た女に、はっと、鼓動を感じたが、今度は、正真正銘、ほんものであった。
先方は、そんな金五郎に、まだ、気づかないらしい。中膝になって、三本指をつき、
「二階の「菊の間」でございます」
と、丸味のある声でいう。
「玉井、行ってみるか」
そういって立った大庭春吉の声に、金五郎も、ふらふらと、立ちあがった。
廊下づたいに行った。夜の庭では、竹林が雨にたたかれて鳴っている。ホオズキを噛むような声で、鳴いている蛙。泉水の音。
曲り角の便所のところに来ると、大庭春吉は、小便をもよおしていたとみえて、「ちょっと」といって、引戸をあけて入った。
それを待つ姿勢になったとき、先に立っていた案内の女と、金五郎との視線が合った。
「お久しゅうござす」
その金五郎の言葉に、銀杏返しの女は、きょとんとした顔つきで、若い男の顔を見た。
暗い電燈が、ついている。
「お忘れですか。いつぞや、道後温泉の「四国屋」