Classiques japonais avec furigana
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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
はなとりゅう
花と龍
火野 葦平
Lisez 花と龍 (はなとりゅう) de 火野 葦平 (ひのあしへい) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 410 131 caractères · 824 écrans
「染ちゃん、どうしたのよ?」
女将をはじめ、おどろいて、居あわせた者が、寄ってたかってなだめすかすけれども、半狂乱の染奴は、畳のうえを、断末魔の芋虫のように、ころがりまわって、泣き叫ぶことを止めなかった。手がつけられない。
やがて、染奴の頭が、不様なザンギリになっていることを知って、あらためて、みんなは仰天した。
「誰が、こんなことをしたの? 染ちゃん、わけをお話しよ」
まっ青になった女将は、自分も染奴について泣きだしながら、しきりと、この恐しい出来事の顛末を聞きたがった。
「畜生、……鬼、……鬼、……」
染奴は、泣きじゃくりながら、囈言のように、そんなことを口走るばかりである。
「誰が畜生なの? 誰が鬼なの? さあ、話して……」
並みいる者は、こういう無残なことを、誰が、どういう理由でしたのか、知りたがった。
ところが、染奴は、どんなに問いつめられてもそれを語らない。その夜は、すぐに寝てしまい、朝まで、蒲団の中で泣いていたが、朝になってからでも、彼女が犯人を明らかにせぬ態度は変らなかった。頑強である。警察沙汰にまでなって、刑事が調べに来たけれども、犯人のことになると、染奴はただ――誰か、自分にもわからない。