Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

ja-reading.com

Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

はなとりゅう

花と龍

火野 葦平

Lisez 花と龍 (はなとりゅう) de 火野 葦平 (ひのあしへい) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 410 131 caractères · 824 écrans

Aozora Bunko

金五郎が、筋骨隆々たる仁王像を感心して眺めながら、(この顔は誰かに似とるぞ)そんなことを考えていると、

「玉井親分、さあ、行きましょう」

般若の五郎から、うながされた。

「田舎者は、なんでも珍しいもんじゃから、……」

「もっと珍しいものがありまさあ」

観音堂の横を入り、「一膳めし」という赤提灯の出ている大衆食堂ののれんを潜った。どちらも大空腹であった。酒を一本ずつ取り、親子丼を食べた。一杯では足らず、お代りをした。ようやく人心地のついた思いである。

「そうでやすかねえ?……道後の湯から、もう、三十年、……へえエ、わからねえもんですなあ、……なあるほど、……」

般若の五郎は変りはてた金五郎の姿を見ては、幾度も、そんな述懐めいた、感歎の言葉を洩らした。しかし、どこか、わざとらしいところがあって、そのしょぼついた眼の奥には、なにか、蛇に似た狡猾な光がちらついているようだった。

「五郎さんも変ったので、おどろきましたよ。じゃけど、逢えて、ほんとにうれしい」

金五郎は、すなおな気持で、それをいった。

勘定をすまして出た。

「こっちで、へい」

五郎にみちびかれるまま行くと、瓢箪池の横に出た。