Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

ja-reading.com

Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

はなこ

花子

森 鴎外

Lisez 花子 (はなこ) de Mori Ōgai (森 鴎外) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 4 950 caractères · 11 écrans

Aozora Bunko

久保田の心は一種の羞恥を覚えることを禁じ得なかった。日本の女としてロダンに紹介するには、も少し立派な女が欲しかったと思ったのである。

そう思ったのも無理は無い。花子は別品ではないのである。日本の女優だと云って、或時忽然ヨオロッパの都会に現れた。そんな女優が日本にいたかどうだか、日本人には知ったものはない。久保田も勿論知らないのである。しかもそれが別品でない。お三どんのようだと云っては、可哀そうであろう。格別荒い為事をしたことはないと見えて、手足なんぞは荒れていない。しかし十七の娘盛なのに、小間使としても少し受け取りにくい姿である。一言で評すれば、子守あがり位にしか、値踏が出来兼ねるのである。

意外にもロダンの顔には満足の色が見えている。健康で余り安逸を貪ったことの無い花子の、いささかの脂肪をも貯えていない、薄い皮膚の底に、適度の労働によって好く発育した、緊張力のある筋肉が、額と腮の詰まった、短い顔、あらわに見えている頸、手袋をしない手と腕に躍動しているのが、ロダンには気に入ったのである。

ロダンの差し伸べた手を、もう大分ヨオロッパ慣れている花子は、愛相の好い微笑を顔に見せて握った。