Classiques japonais avec furigana
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よしとししゃせいちょう
芳年写生帖
野村 胡堂
Lisez 芳年写生帖 (よしとししゃせいちょう) de 野村 胡堂 (のむらこどう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 12 626 caractères · 26 écrans
世帯摺れはして居りますが、十九になったばかりのお浜には、娘らしさが、顔にも姿にも、声の爽やかさにも充分過ぎるほど匂って居たのです。
「今入って行くのは、お止しなさいよ、迷惑する人が二人あるようだから」
その娘の口に含んだ毒が、妙に芳年を焦立たせます。
「何?」
「ね、芳年さん、人のことだけど、私はもう、腹が立って腹が立って、あの彰義隊の生っ白い二本差を、いっそ屯所へ訴人してやろうかと――」
「シッ――」
二人は継穂もなく、黙って顔を見合せました。
「お前さんが、あんまりお人よし過ぎるんですよ。あんな恩知らずの畜生は、なぶり殺しにでもされて――」
「なぶり殺し?」
「首は三尺高い木の上に梟され、死骸は犬の餌にでもなりや宜いに――」
お浜の怒は際限もなく爆発します。芳年をいとしと思う心が、斯うまで極端に働いて、全く違った方角へ忿怒の形で発展して行ったのでしょう。
「嬲り殺し、――梟し首、――そして死骸は犬に――」
芳年の空想力は鼓舞されました。無慚絵の素晴しい題材が、お浜の言葉の上に、活々と築き上げられて行くのです。
「足りない、まだ足りない」
江戸人の心を恐怖のドン底に投込んだ、私刑、暗殺、押込、斬合い、――そして最後に彰義隊の戦争から、寛永寺三十六坊の炎上、八百八町の落武者狩までの、血と焔の印象が、まだまだそんな事では表現