Classiques japonais avec furigana
ja-reading.com
Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
よしとししゃせいちょう
芳年写生帖
野村 胡堂
Lisez 芳年写生帖 (よしとししゃせいちょう) de 野村 胡堂 (のむらこどう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 12 626 caractères · 26 écrans
「そう言うわけじゃございませんが、お気に召さないといけませんから、描くのは勘弁して下さい――死人や梟し首と並べて描いちゃ、第一気色が悪うございます」
芳年は縛られ乍らも、頑強にはね飛ばしました。こみ上げて来る強大な自尊心がガタガタ顫え乍らも、斯う言わせずには措かなかったのです。
「無礼な奴だ、そんな事を言うと、痛い目を見るぞ――絵描きだと言っても、描くところを見なければその帳面の絵だって、誰が描いたか解ったものじゃない。其方、彰義隊の落武者ではないか」
「と、飛んでもない」
そう言う芳年の後に廻って一人は鍔を鳴らしました。
「此奴、斬って捨てようか」
「フム、それも宜かろう」
二人は何やら合図をして居ります。
「あッ、お許しを。私は、彰義隊なんかじゃございません」
颯と来た一刀、縛られ乍らも危うく首を縮めましたが、二度目の太刀は防ぎようはありません。
が、その時奇蹟が起りました。芳年の頭上に振り冠った一刀は宙に飛んで、
「あッ」
飛退く官兵の一人は、足を苅られて屏風の如く倒れたのです。
「己れッ」
飛付くもう一人の官兵の前へ、石垣を這い上ってスックと立ったのは、先刻姿を隠した日下部欽之丞の満身に返り血を受けて、地獄の底から跳出した、幽鬼のような物凄い姿です。