Classiques japonais avec furigana
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くさめいきゅう
草迷宮
泉 鏡花
Lisez 草迷宮 (くさめいきゅう) de 泉 鏡花 (いずみきょうか) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 71 733 caractères · 142 écrans
その腕を長く、つき反らして擦りながら、
「衆怨悉退散。」
とまた念じて、静と心を沈めると、この功徳か、蚊の声が無くなって、寂として静まり返る。
また余りの静さに、自分の身体が消えてしまいはせぬか、という懸念がし出して、押瞑った目を夢から覚めたように恍惚と、しかも円に開けて、真直な燈心を視透かした時であった。
飜然と映って、行燈へ、中から透いて影がさしたのを、女の手ほどの大な蜘蛛、と咄嗟に首を縮めたが、あらず、非ず、柱に触って、やがて油壺の前へこぼれたのは、木の葉であった、青楓の。
僧は思わず手で拾った。がそのまさしく木の葉であるや、しからずや、確かめようとしたのか、どうか、それは渠にも分りはせぬ。
ト続いて、颯と影がさして、横繁吹に乗ったようにさらりと落ちる。
我にもあらず、またもやそれを拾った時、先のを、
「一枚、」
と思わず算えた。
「二枚、」
とあとを数え果さず、三枚目のは、貝ほどの槻の葉で、ひらひらと燈を掠めて来た、影が大い。
「三枚、」
と口の裡で呟くと、早や四枚目が、ばさばさと行燈の紙に障った。
「四枚、五枚、六枚、七枚、」
と数える内に、拾い上げた膝の上は、早や隙間なく落葉に埋もるる。