Classiques japonais avec furigana
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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
かつしかみやげ
荷風随筆集(上)
永井 荷風
Lisez 荷風随筆集(上) (かつしかみやげ) de 永井 荷風 (ながいかふう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 133 224 caractères · 269 écrans
夕餉の箸を取上げる途端、コーンとはっきり最初の一撞きが耳元にきこえてくる時である。驚いて箸を持ったまま、思わず音のする彼方を見返ると、底びかりのする神秘な夜の空に、宵の明星のかげが、たった一ツさびし気に浮いているのが見える。枯れた樹の梢に三日月のかかっているのを見ることもある。
やがて日の長くなることが、やや際立って知られる暮れがた。昼は既に尽きながら、まだ夜にはなりきらない頃、読むことにも書くことにも倦み果てて、これから燈火のつく夜になっても、何をしようという目当も楽しみもないというような時、ふと耳にする鐘の音は、机に頬杖をつく肱のしびれにさえ心付かぬほど、埒もないむかしの思出に人をいざなうことがある。死んだ友達の遺著など、あわてて取出し、夜のふけわたるまで読み耽けるのも、こんな時である。
若葉の茂りに庭のみならず、家の窓もまた薄暗く、殊に糠雨の雫が葉末から音もなく滴る昼過ぎ。いつもより一層遠く柔に聞えて来る鐘の声は、鈴木春信の古き版画の色と線とから感じられるような、疲労と倦怠とを思わせるが、これに反して秋も末近く、一宵ごとにその力を増すような西風に、とぎれて聞える鐘の声は屈原が『楚辞』