Classiques japonais avec furigana
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くさもみじ
荷風随筆集(下)
永井 荷風
Lisez 荷風随筆集(下) (くさもみじ) de 永井 荷風 (ながいかふう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 30 512 caractères · 63 écrans
戦後の演芸が下がかってくるのも是非がない。
浅草の劇場では以上述べたようなジャズ舞踊の外に必ず一幕物が演ぜられている。
戦争後に流行した茶番じみた滑稽物は漸くすたって、闇の女の葛藤、脱走した犯罪者の末路、女を中心とする無頼漢の闘争というが如きメロドラマが流行し、いずこの舞台にもピストルの発射されないことはないようになった。
戦争前の茶番がかった芝居には、それでも浅草という特種な雰囲気が漂っているものもたまには見られない事もなかったが、今ではそういう写実風の妙味は次第に失われて、脚色の波瀾と人物の活動とを主とする傾が早くも一つの類型をなしているようになった。劇場前に掲げ出される絵看板は、舞台の技芸よりも更に一層奇怪、残忍、淫褻になった。絵看板と同じく脚本の名題もまたそれに劣らぬ文字が案出されている。レヴューの名題には肉体とか絢爛とか誘惑とかいう文字が羅列され、演劇には姦淫、豺狼、貪乱といったような文字が選び出されている。
浅草の興行街には久しく剣劇といいチャンバラといわれた闘争の劇の流行していたことは人の記憶している所である。博徒無頼漢の喧噪を主とした芝居で、その絵看板の殺伐残忍なことは、往々顔を外向けたいくらいなものがあった。