Classiques japonais avec furigana
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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
おちぼひろい
落穂拾い・犬の生活
小山 清
Lisez 落穂拾い・犬の生活 (おちぼひろい) de 小山 清 (こやまきよし) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 239 741 caractères · 486 écrans
羽村にゆく前日本橋の本町にあった大菩薩峠刊行会の事務所で初めて会った時、介山居士は云った。「瞑想したり、近隣の山野を散歩したりし給え。」
三月の上旬であった。立川で青梅線に乗り換えて羽村で下りた。生えはじめたばかりの麦畑や枝の芽吹いていない桑畑が見えて、まだ雪の消えずに残っている武甲の山脈が眼に迫ってくる感じだった。土地の人が「記念館」と呼んでいる西隣塾の文化瓦の赤い屋根が突き当りに見える、桑畑の間の一本道を歩いてゆくと、前方から自転車が走ってきたが、私を見かけると飛び下りた。
「小山さんですか?」
「そうです。」
「中里先生から通知がありました。待っていました。右手に建物が見えますね。あれは印刷所ですが、あそこに皆さんいますから。」
それが鳴尾君だった。鳴尾君はそこまで買物にゆくがすぐ帰ると云って、また身軽に自転車に飛び乗った。十七八の少年に見えた。黒の、ボタンも黒のだぶだぶな詰襟服を著ていて、眼のクリクリした、熊の子のような可愛い顔つきをしている。私は振り返って走ってゆく自転車の後姿を見送った。鳴尾君の微笑がとてもよかったからである。「クオレ」の中に出てくる少年のような印象を受けた。