Classiques japonais avec furigana
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おちぼひろい
落穂拾い・犬の生活
小山 清
Lisez 落穂拾い・犬の生活 (おちぼひろい) de 小山 清 (こやまきよし) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 239 741 caractères · 486 écrans
「僕、学校がいやなんだ。つまらないんだもの。」
「勉強が面白くないの? 清さんは何んの科目が好きなんです?」
「僕は修身。」
イエは噴き出した。そして勝気ないい眼つきで私を見た。私は冗談を云ったのではなかった。学校の科目の中では孔孟の教だけに心惹かれるものがあった。事実点数も悪くなかったのである。
来年の新学期からまた学校へ行くこと、中学校だけは卒業しておくつもりでいることを私は話した。「やっぱり、なんだかへんだ。」その頃の気儘な生活のことを、そう私は云った。本屋に一日だけお目見得したことは流石に話せなかった。
「おばさんに余り御心配をかけては駄目ですよ。」
ふいにイエは云った。強い調子だったので、私は思わずイエの面を見た。むきな生真面目な眼だった。その表情に私はふとイエの幼顔を見る気がした。「おばさんは昔から、清さん一本槍なんですからね。」イエはまたそんなことを云った。
イエはたまたま新国劇に頼まれて市村座に出ているという。出し物の中に短い間浄瑠璃を聴かせるものがあったらしい。沢田正二郎の素顔を見ることを云い、「いい男よ。」とイエは云った。私はわけもなく赤面した。