Classiques japonais avec furigana
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おちぼひろい
落穂拾い・犬の生活
小山 清
Lisez 落穂拾い・犬の生活 (おちぼひろい) de 小山 清 (こやまきよし) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 239 741 caractères · 486 écrans
」
「よく知っているね。棚罫ノートと画鋲を買った。」
「ここに坐って見ていれば一目瞭然だ。君はこの店を黙殺してしまったね。ひどいじゃないか。おれは少からず感情を害した。君は自分の行為を義理知らずとは思わないのか?」
「だって、この店にはいつだって棚罫ノートはないじゃないか。画鋲を買ったのはついでだ。僕たちの日常生活では、事のついでということが重大な意味を持つと僕は思うね。人の運不運、幸不幸の分れ目はどこにあるか、わかったものじゃない。僕は人の好意というものは少しのものでも受け難いものだと思うね。」
「理窟はやめろ。君もだいぶ新聞やずれがしてきたようだ。N新聞などは義理固いぞ。いつもこの店で買物をしてくれる。」
その日親爺はなにか虫のいどころでも悪かったのだろうか。頭の悪い上に了簡の狭いことをくどくど云った。親爺の応対ははじめは冗談かと思うほどに、理不尽極まるものであった。私も中腹になった。そんなけちな根性でよくこんな町中で商売が出来たものだというような捨台詞を云って引き上げてきたが、心ならずも朋輩のお得意といさかいをしたようで気色が悪かった。それから四五日経って森文房具店の前を通ったら、親爺は店に坐っていたが、私が通り過ぎる瞬間に、きこえるかきこえない位の声で、「うす馬鹿が通る。